相続

相続人

孫に遺産をあげたい!孫に相続させるための方法とは!

孫に遺産をあげたい!孫に相続させるための方法とは!

孫への遺産相続は可能?

たとえば、お子さんの方が先になくなっているような場合には、ほうっておいてもお孫さんが法定相続人になります。(これを法律用語で「代襲相続」といいます。)

しかし、お子さんが存命の場合には、お孫さんは法定相続人ではありませんから、普通は遺産がお子さんに引き継がれ、お孫さんが遺産を引き継ぐのはお子さんが亡くなってからになります。なので、「法定相続人 孫」という言葉は、普通は使いません。

しかし、いろいろな事情で、お孫さんに遺産を引き継がせたいというご希望もあろうかと思われ、そのような場合には普通の法定相続ではない方法を考える必要があります。

ここでは、代襲相続ではなく、お子さんが存命でもお孫さんに遺産を引き継ぐ方法についてご紹介いたします。

お孫さんに遺産を引き継ぐ方法

遺言書を作成する。

  1. お子さんが存命の場合、法定相続ではお孫さんが「相続」することはできません。
    一般の方にとっては、遺産を引き継ぐことを相続としてお考えでしょうから、あえて「相続」とカッコをつけて書いています。これは法律上の言葉としての相続というのは、あくまでも法定相続人が遺産を引き継ぐことをいうからです。「相続」とカッコをつけて書いた場合は、法定相続人による遺産の引継ぎであることを示しています。
    しかし、遺言を残せば、法定相続人でなくても遺産を引き継ぐことができます。
    お子さんが存命の場合に、本来遺産を「相続」するのは法定相続人であるお子さん
    ですが、遺産をお孫さんに引き継がせることができます。
    これを法律上「遺贈」と言います。
    遺言によって財産を贈与するので、「遺贈」といいます。
  2. 遺言には、公証人役場で作成する公正証書遺言と、自分で作成する自筆証書遺言というのがあります。
    公正証書遺言は、準公務員である公証人がプロの目で内容を確認しながら遺言書を作成してくれるので間違いがなく、多くの方が利用しています。
    その他のメリットとしては、
    A.遺言書原本が公証人役場で保管されるので紛失リスクがない。
    B.家庭裁判所で検認(証拠保全)手続を受ける必要がない。
    C.公正証書遺言検索システムがあり、公証人役場に依頼すれば遺言書の有無、
    内容を検索することができる。
    などがあげられますが、公証人に報酬を支払う義務があります。
    一方、自筆証書遺言は、遺言書の全文、日付、氏名を自筆で書いて印を押す、という形式を守る必要がありますが、公正証書遺言のメリットは受けられません。
    ただし、今年の7月10日以降は、「遺言書保管制度」がスタートし、公正証書遺言のA.~C.のメリットを自筆証書遺言でも受けられることになります。
    むろん、公正証書遺言と違って自分で作成しなければならないという違いはありますが、公証人に報酬を支払う必要はありません。
    どちらを選択するかは、遺言をする方のご自由です。
  3. 遺留分制度
    遺言書で遺産を残す場合には、遺留分制度というのがあって、本来の法定相続人
    であるお子さんの相続分の半分は遺留分としてお子さんに確保してあげる必要があります。たとえば、配偶者が先に亡くなっておられ、親族としてはお子さんとその配偶者、
    そしてお孫さんだけ、という場合、お子さんの法定相続分は本来は遺産全額です。
    こういう場合に、遺産全額をお孫さんに残したいと思っても、それでは法定相続人の相続分を侵害しすぎだ、ということで、お孫さんに残せるのは半分までです。もちろん、お子さんが納得していて、自分の子であるお孫さんに遺産が引き継がれるのであればまったく不満がない、というのであれば遺留分を気にする必要はありません。せっかくお孫さんに残したいという気持ちが仇になって、お子さんとお孫さんが遺産争いを始めたのでは元も子もないので、遺留分には十分ご注意ください。

お孫さんを養子にする

  1. 養子縁組が成立すると、お孫さんはお子さんと同じ立場で「相続」できます。
    お孫さんは遺産を「相続」できない、と説明してきましたが、それはお子さんが存命ならば、親御さんの遺産はいったんお子さんに「相続」され、その後にお孫さんへと代々渡っていく、という考え方によるものです。しかし、お孫さんを養子にすれば、法律上はお子さんと同じ立場になりますから、
    お孫さんとしてではなく養子として「相続」することができることになります。この場合の相続分は、お子さんと養子であるお孫さんとで対等です。遺産分割協議によって、相続分を変えることもできますし、預貯金はお子さんに、不動産は養子であるお孫さんに相続させる、ということもできます。
  2. 養子縁組は、お孫さんが15歳以上であれば、親御さんとお孫さんとでできます。
    養子縁組というのは身分上の行為なので、本人の意思が尊重されるので、15歳以上であれば、親権者であるお子さんの承諾は要しません。15歳未満であれば親権者であるお子さんが代理して養子縁組することになります。ただ、お子さんにしてみれば、自分の法定相続分が減ってしまう話なので、後日のトラブルを避けるためにも十分話し合って進めるべきでしょうね。
  3. 未成年者との養子縁組は、通常は家庭裁判所の許可を要しますが、子や孫などの直系卑属を養子にする場合には、家庭裁判所の許可は不要です。
    未成年者の養子縁組に家庭裁判所の許可が必要とされているのは、養子縁組に名を借りた人身売買を封じるためなので、そんな恐れのない直系卑属に関しては許可は不要とされています。
  4. お孫さんを養子にした場合、相続税法上のメリットがある。
    相続税には基礎控除額というのがあって、3000万円+法定相続人数×600万円となっています。つまり、お孫さんを養子にすることで、法定相続人数が増え600
    万円ほど基礎控除額が増加します。じゃあ、お孫さんがたくさんいればどんどん養子にすれば基礎控除額が増えるじゃないか、ってことになりますが、実子がいる場合には1人、実子がいない場合は2人までしか認められていません。相続税対策での養子縁組にならないように、とする考え方です。本当にお孫さんに遺産を残したくて養子縁組した場合、このような副次的なメリットもある、ということです。

お孫さんに生前贈与する。

  1. 遺言によってお孫さんに贈与する(遺贈する)ことができるのですから、遺言ではなくて生前に贈与してしまうことも可能ですが、税金に要注意です。ところが、遺贈の場合にかかるのは相続税なのに対して、生前贈与の場合には贈与税の対象になります。相続税と贈与税では、圧倒的に贈与税の方が高いので、やり方を間違えると大損してしまうことがあります。たとえば、相続の場合、3000万円+法廷相続人数×600万円までは非課税です。
    したがって、遺産が3600万円以内の方は、相続税はかかりません。
    これは、お孫さんに遺言で相続させる場合も、お孫さんを養子にして「相続」させる場合も同様です。これに対して、贈与の場合、基礎控除額は110万円ですから、財産が3600万円だとすると、3490万円に課税され、税率が55%、税額控除が400万円なので、
    お孫さんは1519万5000円を贈与税として払う必要があります。
    3600万円もらっても、1500万円以上を税金で持っていかれます。
  2. 相続時精算課税制度
    そうはいっても、贈与税があまりにも高いので、高齢者の抱えている資産を有効活用させる、という趣旨から「相続時精算課税制度」というのが設けられています。これは、贈与する側によって卑属に当たる者(子や孫)に対する贈与については、いずれは相続されていく筈の財産の前渡しだから、生前贈与した時点での贈与税を抑え、相続時点で精算させよう、という制度です。この制度の適用を受けられるのは、生前贈与する親御さんの方が60歳以上、贈与を受けるお子さんやお孫さんの方が20歳以上で、特別控除額として2500万円の枠が与えられます。たとえば、先ほどの3600万円の例なら。特別控除枠が2500万円あるので、課税対象は1100万円、税率は40%で税額控除が190万円なので、税額は250万円になります。ここで支払った贈与税は、相続税を支払う際に精算することになります。
  3. その他、特定目的の贈与には課税上の特典があります。
    ア 住宅取得資金の贈与
    自己居住用の家屋の新築、取得、増改築資金を直系尊(父母や祖父母)から贈与された場合、条件に該当すれば一定金額までは非課税になります。
    イ 教育資金の贈与
    30歳未満の方が、教育資金として直系尊属から贈与を受けた場合、条件に該当すれば、1500万円までは非課税になります。
    ウ 結婚・子育て資金の贈与
    20歳以上、50歳未満の方が、結婚資金や子育て資金を直系尊属から贈与された場合、条件にあてはまれば、1000万円までは非課税になります。これらはいずれも、高齢者の資産を、国家的な課題である少子化対策に有効活用しようとする政策的な課税上の特典なので、年度によって非課税枠も変化する可能性があります。最新の情報を確認しながら進める必要があることにご留意ください。

お孫さんに引き継げる遺産の割合は?

  1. 遺留分制度
    遺言書で遺産を残す場合について、遺留分制度の説明をしましたが、生前贈与の場合も同様です。本来の法定相続人であるお子さんの相続分の半分は遺留分としてお子さんに確保してあげる必要があります。たとえば、配偶者が先に亡くなっておられ、親族としてはお子さんとその配偶者、そしてお孫さんだけ、という場合、お子さんの法定相続分は本来は遺産全額です。こういう場合に、遺産全額をお孫さんに残したいと思っても、それでは法定相続人の相続分を侵害しすぎだ、ということで、お孫さんに残せるのは半分までです。それと同様に、お孫さんに生前贈与する場合も、お孫さんに生前贈与できるのは、財産の半分までだ、ということになります。
  2. お孫さんを養子にした場合
    この場合は、お孫さんは養子という立場で法定相続人として相続できることになります。お子さんとお孫さんは、法定相続人という意味では対等の立場になります。このときに、法定相続人としてのお孫さんには4分の3、お子さんには4分の1を相続させる、という遺言を書くことは可能です。なぜなら、このときのお子さんの法定相続分は、お孫さんを養子にしたことによって2分の1になっているので、確保が必要な遺留分は4分の1になっており、養子であるお孫さんに4分の3を残すことが可能です。

相続に関する相談を専門家にするメリットは?

  1. 今までご説明したように、お孫さんに遺産を引き継がせる方法は、普通の相続とは違うので、そう簡単ではありません。たとえば、配偶者とお子さんがいて、お子さんにお孫さんがいるというような普通の家族では、親御さんの相続では配偶者とお子さんだけが法定相続人で、お孫さんが遺産を「相続」するということはできません。
  2. 遺言を書く場合には、ちゃんと方式に則って書く必要があり、違反すると遺言の効果が出ないことがあります。また、生前贈与もやり方を間違えると多額の贈与税がかかってしまい、かえってお孫さんに迷惑がかかってしまいます。
  3. 法律専門家や税務専門家は、多くの相続案件を取り扱った経験を持ち、依頼者のご要望に応じて、民法や税法の範囲内で適法に、ご要望をかなえる術を持ち合わせています。
  4. むろん、できないこと、やってはいけないこと、の境界線もわきまえていますし、相談内容に関する守秘義務も負っていますから、専門家に相談することについてのデメリットはありません。

おわりに

このコラムのサブタイトルは「孫に相続させるための方法とは!」です。

しかし、法律上は、孫が法定相続人であることは、先に子が亡くなっているような代襲相続の場合を除いてあり得ません。なので、法律専門家のコラムとしては不正確です。

ここはあくまでも、一般の方のわかりやすさ、理解のしやすさを念頭に、

「財産をお孫さんに引渡す方法」として記載しておりますのでご留意ください。

また、事例としてあげた課税の例は、執筆時点の税法・税率に依拠しておりますので、

ご留意ください。

この記事をシェアする