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マンションの空き家を活用した事例

空き家と聞くと「一軒家」をイメージされる方も多いですが、近年マンションの空き家が増え、老朽化に伴い空室率はますます上がると予想されています。所有者として個々の対策が求められる中、空き家になったマンションの活用方法を考察してみましょう。

ケース1:空き家(マンション)の賃貸活用

 まずチェックしておきたいのが、マンションの賃貸利用です。メリットとしては賃貸利用により賃料収入が得られる為、税金の支払いや住宅ローンが残っている場合は返済に充てることができます。

一方でデメリットとしてはマンションの設備、修繕等の維持管理費が発生します。また、入居者の家賃滞納やクレーム等の対応が求められることがあります。空室リスクも考えないといけません。

賃貸活用する上でのポイント

 戸建住宅と違い間取りで差別化が困難なマンションを賃貸として貸し出す際、入居者が最重要視するポイントの一つが立地です。そのため、駅からの距離や生活利便性が悪い立地程、空室リスクも比例して上がると言えます。

 また、住宅ローン等の残債が残っている場合、空室が出てしまうと、賃料収入が無くローンの返済だけが続きます。一方でローンを完済していれば、支出が大幅に減る為、ローリスクで賃貸経営をすることができます。

 賃貸経営をする上での支出項目としては、残債がある場合のローン返済額に加え、マンションの修繕積立金・管理費、駐車場代、固定資産税などが上げられます。特に修繕積立金・管理費は世帯数が多い大規模マンションや老朽化が進んでいる場合費用が高額になる可能性がある為、要注意です。管理費は入居者に家賃とは別途で請求するケースもあります。

上記ポイントを整理した上で、多少のリスクを考慮しても好立地で空室リスクが少なく、後世に資産として不動産を残したい場合は賃貸活用の選択がお勧めできます。

ケース2:空き家の「民泊」活用

 次に取り上げるのは「民泊」です。2018年6月に施工された住宅宿泊事業法によって届出のハードルが下がり、一定の条件をクリアすることで民泊経営を始められるようになりました。民泊では、水廻り設備(バス・トイレ・キッチン・洗面等)が備わっていれば、一軒家でもマンションでも関係なく使用することが可能です。

民泊活用する上でのポイント

 民泊活用の重要な前提条件として、民泊に向いている立地が求められます。メインターゲットが外国人等の観光客の為、観光地、なかでも最寄り駅から徒歩10分圏内であることが求められます。周辺に食事や買い物ができる場所があれば更に良いと言えます。

もし、この前提条件を満たしていない場合には借り手がつかず赤字経営のリスクが大きくなるためお勧めできません。

 次に、民泊活用する上で必要な手続きを取り上げます。前述の通り都道府県知事への届出が必要なのですが、民泊経営には家主が居住するタイプと家主が不在のタイプ2種類があり、どちらかを選択する必要があります。ここでは空き家の活用前提の為、家主不在タイプを取り上げます。

 その名の通り民泊で使用する建物に家主が滞在しない為、宿泊者の衛星や安全の確保などを住宅宿泊管理業者と契約して、管理業務を委託する義務があります。業者に依頼するので手間は軽減されますが、経費が掛かるというデメリットがあります。

 届け出を済ませた後は空き家の改修工事が必要となります。水廻り設備が備わっていることが民泊許可の条件ですので、水廻りの改修工事は必須と言えます。また、空き家の状態によってはクロスやフローリングの張り替え等の内装はもちろん、庭や家具の新調も行わなくてはなりません。

 届け出や改修工事が完了したら晴れて民泊業をスタートできるのですが、経営者として考慮しておかないといけない点があります。

1. 施設を清潔に保つ掃除に加え、消耗品の補充等をきめ細かく行う必要がある。

2. 利用者が外国人旅行者のケースが多い為、日常会話程度の最低限の英語でコミュニケーションが取れる。

3. 騒音やゴミ等の近隣住民とのトラブルが起こるリスクを考慮しておく。

4. 管理業者に委託の場合でも犯罪利用されるリスクがある為、犯罪の可能性に常に気を配る必要がある。

立地条件を満たしていても人の入れ替わりが激しい民泊活用の場合には細かなケアや高額な改修工事費がかかる為、賃貸活用よりもハードルは高いかもしれません。

ケース3:空き家(マンション)の現金化

 ケース1の考察の段階で、「立地が悪い」、「老朽化が進み修繕・管理費が高額」、「住宅ローンの残債額が高額」等の理由で賃貸活用のリスクが大きい場合、売却により現金化するというのも活用法といえます。

売却をする場合、居住用として個人に売却するケースと業者に売却するケースの2つが考えられます。

売却を考える際のポイント

 まず居住用として個人に売却する場合、メリットとしては高額で売却できる可能性があります。一方デメリットとしては、買い手が見つからなければ売れ残りとなってしまう為、売却のタイミングが読めないという点が挙げられます。また、残置物の処分費や仲介手数料等、売却する際の支出額も事前に検討しておきましょう。

 住宅ローン等の残債が残っている等の理由により売却希望価格が明確な場合、個人向けに売り出す方が希望価格に近い金額で取引できる可能性がありますが、あくまでもその金額で買い手がつかなければ、「机上の空論」価格となってしまいます。その為、売却に伴って、希望価格だけでなく、近隣相場から算出した最終取引予想価格も検討しておかないといけません。また、売却期間が延びる分だけ税金や修繕費等の支出が増える為、予め売却期間を決めた方が良いと言えます。

 業者に売却する場合、メリットとしては早期に現金化できる、残置物等の処分を業者に任せられる等があり、デメリットとしては個人向けに売却する金額よりも安価になってしまう点が挙げられます。買い取る側の業者としては所有し続けるというより再販目的で購入する訳ですから、残置物処分費や税金等の経費を差し引いて利益を出す目的を考えれば個人向けに売却する金額よりも安価になってしまうのは仕方がないこととも言えます。

 住み替えの計画等により早期売却や残置物処分等の煩わしさから解放されたいという場合は業者買取りも視野に入れると良いでしょう。

 

専門家に相談しましょう!

空き家やマンションの空き室を所有しているけれど、何から手を付けて良いか分からない、誰に相談したら良いか分からないという場合、まずは活用方法の選択肢から信頼できる不動産のプロに相談することをお勧め致します。

この記事の著者

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