相続

相続登記

不動産の相続登記について

不動産の相続登記について

まずは相続人の確定

不動産の相続登記をするには、相続手続の内容に誤りがなく、書類が整っている必要があります。不動産の相続登記は、法律に従った相続手続という実体があった上で、その内容を一般に公示する最終的な手続にすぎません。そのため、まずは相続手続について誤りがないことが必要です。

相続手続でもっとも誤りが生じやすいのが、相続人の確定です。民法で定める法定相続分とは異なる相続分で不動産の相続登記をするには、原則として、相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。相続人全員で遺産分割協議をしていれば問題はないのですが、被相続人に養子がいたとか、後になって他にも相続人がいた、なんていう事例もあり得ます。その場合、すでになされた遺産分割協議が水の泡になる、なんてことになってしまいます。

そのため、まず第一にすべきことは、相続人の確定です。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得することで、だれが相続人となるのかを確定することができます。相続手続で最初にすべきことは、戸籍の取得であるといえます。

不動産の相続登記の方法と注意点

相続手続に誤りがなければ、不動産の相続登記をすることができます。不動産の相続登記の方法は、大雑把に説明すれば、①相続登記の申請書を作成し、②戸籍等の必要書類を添付して、③不動産の所在地を管轄する法務局に提出するというものです。登記申請書の内容に誤りがなく、添付書類に不足がなければ、法務局で1週間程度の審査を経て、無事に登記が完了いたします。

注意点は、もちろん、①申請書の内容に誤りがなく、②必要書類がすべてそろっていることが第一ではありますが、それだけではありません。現在の登記簿の状況によって必要となる登記手続や必要書類が変わってきます。例えば、現在の登記名義人が被相続人本人ではなく被相続人の父親のまま、というように相続登記が数代前からなされていない、という事例があります。その場合、被相続人の父親からの相続登記を申請しなければならないし、添付書類として被相続人の父親の戸籍も要求されるので、必要書類が増えます。そのため、現在の登記簿の状況を把握することが必要不可欠です。

相続登記にかかる費用

相続登記を申請するにあたり、登記の税金(登録免許税)を納付する必要があります。相続登記の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の0.4%です。評価額1000万円の不動産の相続登記を申請する場合、4万円の登録免許税を納付することとなります。

相続登記に必要な書類

相続登記を申請するにあたり必要な書類としては、原則として、①被相続人の戸籍謄本、②被相続人の住民票の除票(ないし戸籍の附票)、③相続人の戸籍、④不動産の相続人の住民票、⑤固定資産税評価証明書(最新年度のもの)が必要となります。

①については、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が原則として必要となります。相続人がどなたかを確定するために、出生からの戸籍謄本を取得する必要があります。この作業が重要なのは1.で触れた通りです。

②については、「被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本」と「本籍の記載がある住民票除票」(ないし戸籍の附票)を照らし合わせるために必要となります。なぜなら、登記簿謄本の所有者欄には住所と氏名が記載されていますが、戸籍には住所までは記載されないので、今回の被相続人と相続不動産の所有者が同一人物であることを証明するためには、今回の被相続人と相続不動産の所有者が同一人物であることを証明する必要があるからです。

③については、相続人が現に存在する(生存している)ことや、行為無能力者でないこと(後見人等がいないこと)を証明するために必要となります。

④については、新たに相続人が不動産の所有者として登記簿謄本の所有者欄に住所と氏名が記載されるため、その内容を証明するために必要となります。

⑤については、3.で前述したとおり、登録免許税を納付するにあたり、登録免許税を算定する基準となる固定資産税評価額がいくらかを証明するために必要となります。

以上が基本的な必要書類ですが、法定相続分と異なる相続方法を採る場合には、遺産分割協議書及び遺産分割協議書に押印した相続人の実印の印鑑証明書(下記5.に詳細を記載いたします)、遺言書があれば遺言書、相続放棄をした相続人がいる場合には、その放棄を証明する書類が必要となります。

遺産分割協議で不動産を分ける場合(共同登記のメリデメも)

遺産分割協議とは、遺言書がない場合で、民法で定める法定相続分以外の割合で相続財産を分ける場合に必要となる書類です。遺産分割協議書には、通常、相続人全員が署名し、実印を押印する必要があります。不動産の相続登記を申請するにあたり、遺産分割協議書と印鑑証明書を添付することはよくあります。遺言や遺産分割協議がなく相続人の単独所有となる相続登記をしない場合、法定相続分で相続登記をすることとなります。相続人が1人の場合には特に問題はありませんが、複数の相続人がいる場合、不動産が共有状態となります。不動産が共有状態になると、もしその不動産を売却したい場合には、共有者全員の同意が必要になるなど足並みをそろえる必要があります。共有持分のみを売却することは困難なので、不動産を共同相続にすること自体、売却などの処分が困難になりうるリスクがあります。

相続登記しないとどうなる?

相続登記は現在の制度の下では義務ではないため、放置したとしても罰則はありません。

ただ、相続登記を放置しすぎると、時間が経てば経つほど、相続登記をするための必要書類が多くなったり、遺産分割協議が困難になるなどのデメリットがあります。なぜなら、登記簿上の所有者が曽祖父母名義のままという場合、その相続権を引き継いだ現在の相続人全員で遺産分割協議する必要が出てきますが、放置すればするほど相続人となりうる人が増加するためです。その相続関係を証明するための戸籍はたくさん必要となりますし、50人で遺産分割協議をすることは意見がまとまらず困難なことは容易に想像できるかと思います。

また、近い将来、相続登記が義務化することが予想されます。相続登記が未了の空き家不動産が多数ある現状から、相続登記の義務化が検討されており、2021年にも法制化されるという話がでてきています。今後注意が必要だと思います。

司法書士に依頼するメリット

相続登記は相続人本人が申請すること(本人申請)はもちろん可能です。ですが、相続登記をするには上記2.で前述した通り、登記申請に当たって注意点がたくさんあります。書類に不備があれば、法務局から連絡が来て、登記申請書を書き直しに行ったり、不足した書類を提出しなければならないなど、労力がかかります。

司法書士は登記申請のプロなので、不動産の相続登記を申請するにあたり、どのような申請を行うべきか、どのような書類が必要か、を事案ごとに検討することができます。相続手続はいろいろな手続が必要であり相続人に労力がかかるので、司法書士に相続登記を依頼することでその労力を軽減することができます。

まとめ

以上、不動産の相続登記をメインに記載いたしましたが、司法書士は、相続登記をすることはもちろんですが、不動産の相続登記に限らず相続手続全体について精通しております。相続が開始した段階で、相続人の皆様は今後何から手を付けるべきかわからないことが多いので、司法書士にご相談いただくことで、相続手続全体の道筋を明確にすることができると思います。相続手続でお困りの方は遠慮なく一度ご相談いただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 小机 航

    司法書士

    小机 航

    お客さまの声に耳を傾け、誠実・親切で丁寧な仕事を迅速に行うプロフェッショナル集団として。

    平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
    本日は私たちのホームページにアクセス頂き有難うございます。

    NTS総合司法書士法人は、私たち司法書士の出資により独立した法人として設立された後に、『つながる全てに「ありがとう」を』という理念に共鳴した私たちの意志をもってNTSホールディングスグループへの参画を果たした経緯をもちます。

    グループに参画したことにより、グループ各企業はもとより高度な専門知識を持つ各種専門家との緊密な連携体制が構築されましたので、今まで以上にお客さまからの多種多様なご依頼内容に迅速に対応することが可能となりました。

    昨今、お客さまを取り巻く環境は劇的に変化しております。法律問題はますます複雑化する様相を呈し、ビジネス環境及び生活領域の各所で法的ニーズは高まりを見せております。しかし、こうした多様化の傾向はお客さまに難しい舵取りを強いるものに他なりません。

    私たちNTS総合司法書士法人は、こうしたお客さまの切実な声に「丁寧に耳を傾ける存在でありたいと願います。私たちが司法書士業務に従事し始めた頃から一貫して心掛けてきたのが「誠実・親切で丁寧な仕事を迅速に」というものでした。これからも、この思いを軸にしたプロフェッショナル集団として、グループの広範なネットワークを活かしたワンストップでのリーガル・サービスを提供して参ります。

    その先にお客さまの身近な存在として信頼を頂ける未来がある。この確信を基に全てのご依頼に全力を尽くす所存でございますので、何卒ご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます。
    当事務所HPhttp://nts-ss.jp/

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