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【徹底解説!】遺言事項とは、付言事項とは?例文もまじえて司法書士・土屋先生が分かりやすく解説!遺言書の書き方も一から教えます!!

仲がいい家族でも、相続がきっかけで絶縁状態になることもあります。相続は極めてナイーブなことですが、被相続人が「相続人に生前の気持ちを伝えたい」というときに便利に使えるのが付言事項です。付言事項を使うことで、無用なトラブルの防止につながります。

今回は司法書士 土屋顕大先生(みらいひまわり法務事務所)に遺言事項、付言事項について解説いただきました。

遺言事項 とは

遺言事項は、自分の財産をどうするか詳細を記したものになります。簡単に説明すると、下記4点をまとめたものです。

①財産の詳細

②誰に分けるのか

③誰がやるのか

④その他の事項

「誰がやるのか」という点については、弁護士や司法書士を遺言執行者に頼むまたは相続人のお子様に任せるといった場合もあります。基本的に遺言執行者には専門家が任されることが多いです。

遺言事項は用紙に書き記してあったり、口頭での遺言は法的効力がありません。遺言書という形式で作成するにあたり法的効力が認められる事項を「遺言事項」といいます。遺言事項は民法やその他の法律で規定があります。「遺言書」に記載することで遺言としての法的効力が発生するのです。

相続が始まると相続者たちはよくもめることになりますが、そういった争い事を防いだり、拡大させないようにするためにできているのが「遺言事項法定主義」という法律です。

遺言事項 の種類

遺言事項には実は4種類あります。内容を説明しましょう。

1. 財産に関する遺言事項

2.身分に関する遺言事項

3.遺言執行に関する遺言事項

4.その他の遺言事項

各々を確認していきます。

財産に関する遺言事項

 

法定相続分というのは民法で決まっています。

例えば父親が亡くなった場合、遺産の半分は配偶者である妻へ、残りの半分は子供たちで平等に分けることになります。

■わかりやすい例

・子どもが二人いた場合、遺産が100万円だった場合

妻は50万、こどもAに25万、こどもBに25万といったようなに遺産相続することになります。

 

・財産処分(遺贈)

特定の人に財産を遺贈する財産処分のことですが、遺贈という形で財産を寄付することもできます。この方法は法定相続人以外の人に遺産を残したい場合に有効になります。

 

・相続分の指定

遺産をそれぞれの相続人にどの位の割合で相続させたらいいのか、本来の指定割合以外で違う相続分を指定することもできます。

 

・遺産分割方法の指定

遺産分割の割合以外の遺産において、どの遺産を誰に分けるか、どの遺産分割方法を用いるかを指定することができます。(例:土地は妻に、建物は子供になど)

 

・遺産分割の禁止

被相続人(遺言者)が亡くなった段階で、すぐに相続は始まります。しかし、5年を超えない範囲であれば遺産の分割を禁止することもできるのです。

例えば、相続人の中に未成年者がいた場合は「なるべくなら成人してから相続の意思決定ができてからにしたい」などがあるでしょう。

 

一部の遺産についてであったとしても、特定の遺産であれば分割を禁止することもできます。

 

・担保責任の指定

相続人が遺産を引き継いだ後、他の相続人と一緒に被った損害を賠償する責任を負うという「担保責任の指定」が相続人同士の間で行えます。

遺言では担保責任をどの相続人が負うのか、またその割合はどうするのかも指定できます。

身分に関する遺言事項

・非嫡出子の認知

婚姻関係にない状態で生まれた非摘出子がいた場合、父親からの認知があれば法律上で親子関係が成立します。普通に生まれ育った婚姻関係の元で生まれた嫡出子と同様に相続人になることができるのです。

遺言で認知もできますが、父親本人が生前に認知届を出して処理していることが多いです。もし遺言で行う場合は、遺言執行者を選任しなければなりません。

 

・未成年後見人の指定

遺言者が亡くなることで、親権者が誰もいなくなった未成年の子がいたとします。その場合、未成年後見人の選任が必要です。未成年後見人は、親権者の代わりに未成年者の身の回り等に留まらず、財産管理も代行します。未成年者の親権者が遺言で指定する場合もありますし、親族が家庭裁判所に申し立てる方法で選ぶこともあります。

 

・生命保険の受取人の変更

生命保険の死亡保険金の受取人を変更したい場合は、どうしたらいいでしょう。

現在は保険法が改正されたので、遺言で受取人変更もできます。ですが、保険法施行前に締結した契約内容においては、遺言があった場合でも保険会社の判断に委ねられてしまいます。

遺言で死亡保険金の受取人を変更する場合は、誰もがわかるようにしておかないとトラブルの原因になったりします。わからない場合は、専門家に相談しましょう。

 

・相続人の廃除

被相続人である遺言者は、自分の意思で相続人の相続権を失効させることができます。これを「相続人の廃除」といいます。手続き方法は、被相続人が家庭裁判所に申し立てる生前廃除、遺言で残す遺言廃除があります。

遺言廃除では、遺言執行者が手続きをする必要があるので、遺言執行者を選任しなければなりません。

 

遺言執行に関する遺言事項

・遺言執行者の指定

遺言執行者は遺言で指定することができます。相続人のみでも構わないのですが、込み入った認知関係や相続人の廃除のような場合には、遺言執行者でなければ対応できません。遺言にそういった内容の記載があるのに遺言執行者名が載っていなければ、家庭裁判所で選任してもらう必要があります。

その他の遺言事項

遺言事項として下記も効力があります。

・祭祀承継者の指定

祭祀財産(墓石・墓地・仏壇・位牌等)を引き継ぐ祭祀承継者の指定ができます。指定が遺言にない場合、慣習に委ねられます。

 

・一般財団法人の設立

一般財団法人の設立は官庁の許可が必要ありません。手続きは遺言執行者が行うことになるので、遺言執行者を選任しなければなりません。そのときかかる拠出金は300万円以上の設立資金として必要になりますが、その金額は遺産のなかから持ち出しとなります。

 

・特別受益の持ち戻しの免除

もし特別受益(生前贈与など)を受けた相続人がいた場合、特別受益分は遺産に戻さなければなりません。それを相続人の間で分配するので、特別受益を受けた相続人は相続分から特別受益分を差し引かれてしまいます(特別受益の持ち戻し)。特別受益の持ち戻しをしないように、遺言で記載表示することもできるのです。

 

・信託の設定

決まった人に遺産運用を任せ、その収益を渡してほしい場合があったとします。その場合、被相続人である遺言者は受託者に遺産を移して管理や処分をしてもらうことになります。それを信託といいます。通常は生前に信託契約を締結しますが、遺言で信託設定することもできます。

 

遺言事項に該当しない付言事項

遺言書に書いてあっても「付言事項」という法的に効力がないものがあります。

・葬儀関係(例:埋葬方法や葬儀に関する依頼等)

・臓器提供に関する表意

・遺留分侵害額請求の禁止

・家族、お世話になった方々への感謝の表意

 

以上が遺言事項に関する詳細となります。

付言事項とは?

付言事項とは、遺言者の方の「気持ち」を相続人に対して表したものです。相続が発生した時に、何故そのように分けたのか、経緯や気持ちを書いておくものです。今後こうなってほしい、という遺言者から相続人へ「最後のメッセージ」でもあります。

遺言トラブルになりかねない状況下でも、遺言者の付言事項の心のメッセージあることにより揉めずに収まったという事例もあります。

残された家族や親族が納得できるような付言事項を書き残すことで、未然に紛争を防ぐこともできるのです。

専門家に相談せず、トラブルになったケース

①仲が良い家族が、遺言書がない為に揉めてしまうケース

「遺言書を書かなくてもいいかな」と言う方も多くいますが、仲が良い家族ほど書いておく事をお勧めします。仲が良かったのに遺言書を書いていなかったがためにそれを機に仲が悪くなってしまった、というケースがあります。

仲が良ければ遺言書の通りに実行し、付言事項も記載があると納得してスムーズに運ぶ事もあります。遺言書がない為に揉めてしまうケースもあるのです。

 

②偏った内容の遺言書でも、付言事項がある事で円満に行くケース

法定相続分よりも偏った割合で相続の分配になっていたとしても、遺言書に付言事項の記載があると解決することもあります。遺言者ご本人の気持ち・意図や経緯が書かれていることで、相続人同士も納得しトラブルも防止につながります。

 

③不動産と現金で分けると、のちのち不公平だと感じる場合があるケース

遺言者が相談なしに相続人に対して遺言書を書き、配分を「不動産」と「現金」とで分けてしまったケースです。不動産は築年数も古いものですと、修繕工事なども必要になります。修繕工事費用に多くの負担が掛かってしまい「現金を相続した兄弟と比較すると割に合わない」といった不公平感を感じる場合がありトラブルにつながる事もあります。

現金と不動産のバランスを考えて、兄弟それぞれに分配されるように上手く相続分を分けた方がトラブル防止対策はできたかもしれません。

遺言事項、付言事項の例文、書き方

遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言 等)によっては各遺言書の要件が決まっています。

今回は公正証書遺言を前提に文例をご紹介します。

 

  

                  遺言書

 

私、〇〇は、私の没後、深く愛する家族が幸せに栄えることを願いつつ、次の通りに遺言を記す。

 

第1条  長女、●●(相続人の氏名)に次の通りに相続させる

〇〇(遺言者の氏名)の持分全部

不動産番号 *********(全ての不動産番号に採番されている)

所   在 *********(不動産の住所)

地   番 *********(法務局が定めた住所。登記簿謄本に記載されている)

地   目 *********(例:宅地・山林・田・雑種地 等)

地   積 *********(土地の面積)

 

不動産番号 *********(全ての不動産番号に採番されている)

所   在 *********(不動産の住所)

家 屋 番 号 *********(法務局が登記される建物に付する特定するための番号)

種   類 *********(建物の主たる用途:例 居宅 店舗 共同住宅 等)

構   造 *********(例:木造瓦葺2階建て 等)

床 面 積 *********(登記簿面積)

 

下記の預貯金の全て

△△信用金庫 □□支店 普通口座 口座番号

△△銀行   □□支店 普通口座 口座番号

第2条

その他私が失念した財産があった場合、全てを、長女、●●に相続させる。

 

第3条

遺言執行者に司法書士〇〇〇〇を指定する。

 

( 付言事項 )

私の相続に際して、相続手続きが円滑に行われることを願って、この遺言書を作成する事にしました。

老後の世話及び入院等、金銭面だけでなく心身ともに優しく支えてくれた●●には、心から感謝しています。家族それぞれ思うところもあるかと思いますが、くれぐれも喧嘩だけはせず、お互いを思いやって下さい。

住 所  ***********************

遺言者  〇〇 〇〇

職 業   **************

 

 

【 遺言書記載の解説】

 

※第1条の不動産については登記簿上の情報を全て記載しています。

預貯金に関しては金額は書かずに口座の情報を全て記載します。

上記の内容を「誰が」誰に」何を」「どうしたい」という事が記載されています。

相続させたい個人の名前を具体的に相続内容を記載する事でトラブルを防ぎます。

また、「遺留分」について事前に遺言書の中に記載する方も最近では多く、トラブル防止につながります。

 

※第2条の内容は、遺言書に記載されていない物が出てきた場合の対応を記載しておきます。この場合は、全て長女に相続させたいという意向がある場合など、「全てを長女●●に相続させる」という部分を強調する事が可能です。

 

※第3条の遺言執行者については、弁護士や司法書士が遺言執行者になる場合、氏名・住所・生年月日を記載して個人が特定できる内容を記載します。

 

※また、最後に日付・印鑑(実印)の押印と、印鑑証明書の準備も必要となります。

 

いかがだったでしょうか。今回は遺言事項・付言事項について、みらいひまわり法務事務所の土屋先生に解説いただきました。残された家族が円満に関係を築いていくためにも、付言事項のつかい方を理解してすることが肝要です。

付言事項を書く際は伝えたいことをしっかり理解してもらうため、遺言書の内容が曖昧にならないよう注意しましょう。

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