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相続税

平成27年改正による増税であなたも相続税の対象に!?

大幅増税となった平成27年改正の背景

少子高齢化が急速に進む中で、親族に極力手間をかけることなく人生を終えるための準備をする「終活」が一般的となりました。平成27年の相続税改正で、相続税対象者が大幅に増加したこともあり、相続税対策への関心が大きく高まっています。

まず、平成27年の相続税法改正の背景として、財務省が公表しているグラフをご確認いただきましょう。

 

相続税の課税件数割合及び相続税・贈与税収の推移

参考:相続税の改正に関する資料 : 財務省

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/e02.htm

 

相続税による税収は平成5年の2兆9377億円をピークに低下を続け、平成26年には1兆5450億円と低下。20年ほどの間に大きく減少しています。

この理由としては、土地の価格の推移があります。土地の価格は平成3年にピークとなりましたが、土地の価格が低下するほど、相続税算出のもととなる遺産総額が減少することとなります。また、平成27年相続税改正以前の相続税は、このバブル期の土地価格を前提に基礎控除金額が設定されていました(詳細後述)。地価が大幅に下落し遺産総額が減少しているにもかかわらず、基礎控除金額がバブル期の土地価格を前提とした金額に据え置かれていたため、年々税収が減少することとなりました。

少子高齢化が進み、社会保障費の負担増大に対応するためには、相続税収を適正な水準に戻す必要があります。そのために平成27年、20年ぶりとなる相続税法の大改正が行われました。前掲のグラフによると、平成29年の相続税の課税件数割合は8.3%、負担割合は12.9%となっており、平成27年改正の影響が確認できます。

 

基礎控除引き下げであなたも相続税の対象に!?

平成27年改正では、基礎控除が大幅に引き下げられました。基礎控除とは、法定相続人の人数に応じて、相続財産の金額から控除することが出来る金額を言います。相続財産がその金額以下であれば相続税がかからない金額ともいうことが出来ます。

 

・基礎控除の金額

<改正前>

5000万円+(法定相続人の人数×1000万円)

<改正後>

3000万円+(法定相続人の人数×600万円)

 

簡単な事例で改正の影響を確認してみましょう。

 

例)

父が亡くなり、母、子供三人が相続人

財産の総額は6000万

<改正前>

基礎控除:5000万円+(3人×1000万円)=8000万>6000万となり、相続税はかかりません。

<改正後>

基礎控除:3000万円+(3人×600万円)=4800万<6000万となり、相続税の対象となります。

 

基礎控除が改正前の6割まで引き下げられたことにより、相続税の対象となる方が増えることとなりました。

 

平成27年改正のその他のポイント

あわせて基礎控除の改定以外に平成27年相続税法改正で変更となった事項を確認しておきましょう。

 

・税率改正

相続税率が以下のように改正となりました。2億円超~3億円以下、及び6億円超の取得金額について、5%税率が増加しています。富裕層への課税が強化されています。

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この記事の著者

  • 松尾繁樹

    税理士

    松尾繁樹

    神奈川県出身 1985年生まれ
    東京大学経済学部卒 公認会計士・税理士
    一般社団法人いい税理士協会 認定「いい税理士」

    最近の趣味はSUP(スタンドアップパドルサーフィン)で釣りをすること。男児二人の父として子育てに奮闘中。

    当事務所HPhttps://www.matsuo-cpa.jp/

    神奈川県出身 1985年生まれ
    東京大学経済学部卒 公認会計士・税理士
    一般社団法人いい税理士協会 認定「いい税理士」

    最近の趣味はSUP(スタンドアップパドルサーフィン)で釣りをすること。男児二人の父として子育てに奮闘中。

    当事務所HPhttps://www.matsuo-cpa.jp/