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知っておきたい空き家対策特別措置法(空き家法)
目次
「空き家対策特別措置法」とは、平成27年2月より施行された空き家オーナーさんに向けて「他の人の迷惑とならないよう、適切な管理をしましょう」と促している法律です。
法律に違反したオーナーさんには厳しく、税制の優遇措置から外したり、お持ちの空き家を強制撤去することも認めています。
日本の空き家は全国で820万戸にも及ぶため、なかには老朽化が進んだ空き家も少なくありません。放置が進んだ空き家は事故や崩壊の原因となるので、注意が必要です。
空き家対策特別措置法の目的とは?
空き家対策特別措置法(正式名称:空家等対策の推進に関する特別措置法)は、大きく分けて、空き家の「適正管理」と「利活用」と言う2つの目的を持っています。
~空き家対策特別措置法の2大目的~
空き家の適正管理 … 近隣の防災・衛生・治安や景観
空き家の利活用 … 日本の空き家の増加傾向
空き家の適正管理とは?
老朽化が進んだ空き家は、倒壊や破損を起こして隣家に被害を与えたり、通行人のケガを負わせたりと、近隣住民の迷惑となる可能性を有しています。
また放置空き家には、投げ込まれたゴミやガラクタを片付ける人がいません。これらは悪臭や腐敗など衛生上の問題を引き起こすため、やはり管理者の手が必要ですよね。
つまりこの法律は、管理者であるオーナーさんに「空き家が迷惑な存在にならないように管理してね」とお願いすることを目的にしています。
~空き家の放置はこんなに迷惑~
防災上の問題 … 倒壊・崩落による事故や怪我のリスク
衛生上の問題 … ゴミやガラクタによる悪臭・腐敗
治安上の問題 … 不審者による放火・潜伏などの犯罪リスク
どんな住宅が規制対象となるの?
空き家対策法は、全ての空き家を規制対象にしているワケではありません。
ひとえに空き家と言っても、比較的新しいマンションから、古い戸建て物件まで様々です。そのため空き家対策法では自治体に向けて、空き家の中で「周囲の迷惑になりそうな空き家」を選択することを求めています。
自治体は管轄エリア内の空き家に対して、法律で認められた範囲で調査を行い、固定資産税情報などを調査して、物件の状態や利用者を特定するのが仕事です。
こうした特定された空き家は「特定空き家」と呼ばれます。
特定空き家とは?
特定空き家とは、倒壊や崩落・衛生上、著しい問題を抱えた住宅です。
いずれもそのまま放置すると近隣に被害が及ぶほどの、「著しい状態」でなくてはなりません。
しかし2018年度現在、既に特定空き家に指定され、強制執行された事例もあるので、安易は考えるのは危険です。
~特定空き家の定義~
空き家対策法では、下記の状態にある空き家を「特定空き家」と定めています。
倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
著しく衛生上有害となるおそれのある状態
適切な管理が行われないことにより、 著しく景観を損なっている状態
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
参考 空き家対策特別措置法2条2項
違反するとどうなるの?
特定空き家に指定されると、オーナーさんは自治体に改善を求められます。
当然いきなり強制執行されることはありません。しかし自治体の要請を無視し続けると、改善への助言や指導・勧告と段々要請の強度が高まります。
それでも応じてくれないオーナーさんに対しては、いよいよ自治体も本腰をあげ「命令」措置を取ります。
命令には期限が定められています。そして期限内に適切な対処を行わないオーナーさんには、「強制執行」を行うことが認められています。
具体的にどのような措置が取られるかはケースバイケースですが、総じて特定空き家の除却や解体工事が行われることになるでしょう。
…もちろん費用は、オーナーさん持ちです。
固定資産税の優遇措置を外される!
特定空き家に指定され勧告が行われると、税制面でも不利を被ります。
通常、住宅に係る固定資産税は特例措置により1/3~1/6程度に減額されています。つまり私たちが住んでいる住宅には、本来の固定資産税から割引が行われているワケです。
しかし空き家対策法及び自治体により指定された「特定空き家」は、この優遇措置から除外されてしまいます。すると特例措置が適用されていた時と比べて、大幅に固定資産税が増加してしまうのです。
これは空き家オーナーさんにとって、非常に痛いルールです。
しかし特定空き家に指定されるほど状態の悪い空き家を放置すると、近隣の人たちに迷惑がかかりかねません。これは「適切な管理をしてね」という自治体からのメッセージとも言えるでしょう。
空き家の利活用
空き家対策法は、老朽家屋の管理を求める一方で、空き家の利活用を推し進める目的も有しています。
平成25年に国土交通省が実施した「住宅・土地統計調査」によると、日本全国の空き家物件は全国で約820万戸。全物件のうち約13.5%が空き家となっているのが実情です。
また人口減少が進む日本社会では、今後も空き家の増加が進むと見られており、2033年には空き家総数が2,000万戸を超えるとの見方も出ています。
参考野村総合研究所 住宅の除却・減築などが進まない場合、2033年には空き家が2,000万戸超へと倍増
利活用が空き家増加を抑制するかも!
もちろん推計は推計に過ぎません。ですがこのまま放置すると、日本の住宅は空き家だらけになるかもしれませんよね。
そこで政府は、空き家を規制すると同時に、利活用を促すことを考えています。
実は空き家物件の中には、キチンと管理すれば、まだまだ収益を生み出せる物件が少なくありません。また居住に適さない空き家の中にも、福祉や医療・コミュニティサービスとして需要のある物件もあるようです。
これらの空き家物件をオーナーさんに活用してもらえれば、その分だけ空き家の減少に繋がります。
また高い新築物件に手が出ない利用者の方にとっても、住まいの増加は嬉しい話です。
つまりこの法律は、空き家のオーナーさんに「空き家の利活用」を気付いてもらう働きも持っているんですね。
~オーナー側のメリット~
維持管理の大変空き家が収益物件に!
~利用者側のメリット~
安くて住みやすい物件の増加に!
↓↓↓
空き家物件の減少に繋がる!
まとめ
空き家対策法は、空き家オーナーに対して適切な維持管理を求める制度です。
空き家物件の中にはまだまだ価値がある住宅も多いので、空き家を持て余しているオーナーさんは、一度活用方法を検討してみては如何でしょうか。
もちろん不動産活用をしなくても、適正管理を行う術はあります。
ご自身で定期的に空き家を見回って見ても良いですし、最近は空き家の掃除や点検を請負う管理会社も増えています。
掃除や点検だけでも随分と違ってくるので、ご自身の大切な資産を守るためにも、気にかけてあげることをオススメします。
この記事の著者
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一般社団法人士希の会が運営する「空き家相続サービス」では空き家を中心とした不動産の相続に関するコラムや解決事例を紹介しています。空き家になった不動産の利活用や売却もしっかりサポート!不動産相続の専門家を調べることができるので、ご自身に合った専門家を見つけることができます。
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