相続登記
相続登記とは?司法書士が自分で相続登記する手続きを徹底解説!
目次
相続登記と言うと分かりづらいのですが、相続登記とは不動産の登記のことを指します。
不動産はパッと見て誰の所有物かというのがわかりません。不動産は、誰の所有物なのかというのを国が全て管理しています。
なので、不動産を相続した際には誰の名義になったのかとを登記手続きしなければいけません。
簡単に言うと、不動産の所有者名義変更が相続登記ということになります。
相続登記は必ずしないといけないのか?
不動産を相続した際に自動的に名義が変更してもらえるということはありません。 不動産を相続したら、自ら登記をする必要があります。義務ではないですが、相続登記はしたほうがよいです。
・放置のデメリット
では放置するとどのようなデメリットがあるのでしょうか。よく言われるデメリットとしては、権利関係が複雑になるということです。
相続人が登記をせずに放置していて、その相続人も亡くなってしまった場合は関係者が増えていきます。
ひどいケースでは関係者が10~20人以上になってしまい、権利関係が非常に複雑になってきます。10人以上の大人がひとつの場所に集まるというのは現実的ではあります。
相続の手続きをするには様々な書類に署名捺印をする必要があり、関係者すべてにそれらの手続きを行っていただく必要があります。 実際にやろうとすると、手間がかかるのでそのまま放置する方が多いです。日本にはそのように権利関係が複雑になってしまったために放置されている不動産がたくさんあります。
現在問題になっている空き家問題も、相続の権利関係が原因で空き家になってしまっているものも多くあります。
どのような不動産なら相続登記すべきか
基本的には、すべての不動産登記をした方がいいです。しかし、来月取り壊しをするなど特別な事情がある場合は、登記をしなくてもいいでしょう。
相続登記の3パターン
相続登記には大きく下記の3つのパターンがあります。
①遺産分割協議書
相続人同士で話し合う場を持ち、相続する割合を遺産分割協議書にまとめます。その遺産分割協議書を元に相続登記をするパターンです。
②遺言書
被相続人が生前残していた遺言書に従って、相続人を決めるパターンです。
③法定相続分
あまり使われることはないですが、法定相続分という法律で定められた持ち分割合で相続登記をするパターンです。
相続登記に期限はあるか?
相続登記は、義務ではないので期限はありません。
いつ登記してもよいですし、登記変更しなくても罰則はありません。期限がない相続登記ですが、放っておくとデメリットもあります。
不動産を売却したいときに手間や費用がかかってしまったり、相続人の間で揉め事に発展するケースもあります。
相続登記にかかる費用
①税金
相続登記には固定資産税評価額の0.4%かかります。
固定資産税評価額1億円の場合は1億円の0.4%なので40万円の税金がかかります。固定資産税評価額100万円の場合は、100万円の0.4%なので4千円の税金しかかかりません。税金については物件の規模感によって、大きく変わってきます。
都内の戸建は固定資産税評価額が1000万円が平均だと仮定すると1000万円の0.4%で4万円前後になるケースが多いです。資産家でない限り、相続登記にかかる税金はそこまで大きい金額にならないでしょう。
②司法書士への報酬
どこまで依頼するかにもよりますが、およそ4万円〜10万円になります。 詳しくは依頼する司法書士に問い合わせるとよいでしょう。
相続登記の義務化と罰則
現時点では詳細が決まっているわけではありません。 ただ、今後としては義務化の方向に進んでいきます。
義務化の方向に進んでいく理由としては、空き家と所有者不明土地が問題になっているためです。所有者不明土地の大きさは九州全土を上回っており、国としては権利関係を整理し利活用しようと考えています。
特にこれらの問題が顕著なのが地方です。 東京を含む都市圏は利用価値が高いのでこのような問題は起こりづらいですが、地方は利用価値がない不動産も多いので空き家と所有者不明土地が増加してしまう傾向にあります。
相続してしまうと固定資産税は支払わないといけないため、相続登記せずに放置されるケースが目立ちます。最近では地方の不動産を国が買い取る法律も出てきています。近い将来国が不動産の権利関係を整理し、利活用に動き出すでしょう。そういった流れの中で相続登記の義務化は、避けられない流れになってきています。
相続法改正で何がどう変わるのか?
今回の改正で特に注目されていたテーマを3つに分けて説明していきたいと思います。
①自筆証書遺言の法務局保管
自筆証書遺言が法務局で預けれるようになりました。元々自筆証書遺言というのは実務の現場ではほとんど使われることはありません。なぜかというと、遺言の内容に不備があると無効になってしまうからです。ですから非常に厳格に決められている遺言というのは、メモ帳みたいなものに名前書いて印鑑を押せば良いといったお手軽なものではなくて法律によって厳格に決められていているものになります。そのことがあまりに知られいないので間違った書き方をしてしまい、遺言の効力が争われることが法律の世界では日常茶飯にあります。さらに自筆証書遺言を書いた後に裁判所への使用許可の手続きもあります。そのような煩雑な手続きを少しでも緩和させようというのが法務局による預かりの趣旨です。あくまでも自分が書いたということを証明するために法務局で預かってもらうだけで遺言書の中身の有効性までを担保するということではありません。ですから、このような制度ができたとしても基本的には遺言の内容を専門家に相談することが必要になってきます。
②遺留分の債権化
遺留分は現金精算に改正されました。遺留分とは法定相続人に最低限保証される遺産取得分のことです。そして遺留分で最も問題になりやすいのが不動産の相続になります。例えば数人で大きな土地や工場を相続する場合です。
この場合は土地や工場を現金化して数人で相続する形になります。 このように遺留分は現金精算が出来るように改正されました。
③相続の効力に関する見直し
不動産登記において改正後は遺言書の有無に関わらず登記を行わないと対抗することが出来なくなりました。ここでの対抗とは所有権を主張できることで、その要件のことを対抗要件といいます。改正前では法定相続人に遺言書がある場合は対抗要件を満たしており、登記を行わなくても所有権を主張できました。しかし、改正後は登記を行った人のみが所有権を主張できるようになったのです。
例えば、宮川兄と宮川弟で宮川父の遺産である不動産の所有権を争った際に遺言書に宮川兄に譲渡すると書かれていても、宮川弟が先に登記をすれば宮川弟がこの不動産の所有権を主張することができます。不動産売買の世界では「その日のうちに登記をしないのは言語道断」と言われており常識となっています。まさに、スピード勝負で先に登記した者が勝つ仕組みに改正されました。
相続登記の基本パターン
相続登記を行うには基本的に2つのパターンが考えられます。
①司法書士の先生に相続登記を手伝ってもらうパターン
相続登記は司法書士の独占業務であり他の専門家は行うことができません。ほとんどの手続きは司法書士の先生が行いますので、基本的には必要書類にご署名とご捺印を押して頂くだけで完了致します。自分で行うよりも早く、楽に相続登記を行えるのでお時間を取ることができない方は司法書士の先生にご相談されることをおすすめします。
②自分で相続登記を行うパターン
自分で相続登記を行う場合は、様々な手続きがあるため相当な時間がかかってしまいます。おおよその時間になりますが月曜日~金曜日まで働かれているサラリーマンでは相続登記を行うだけでも2ヶ月~3か月はかかってしまうでしょう。時間には余裕がありお金をかけたくないという方は相続登記を自分で行うことをおすすめします。
相続登記を自分で行うための5つのステップ
ステップ①相続不動産の把握
固定資産税納税通知書、名寄帳、権利書をそろえ、被相続人の方がどのような不動産を持っているか調査を行いましょう。
固定資産税納税通知書…納税通知書で固定資産税額の確定と納付を請求をおこなうもの
名寄帳…被相続人の方がもっていた不動産を一覧表にしたもの
ステップ②相続人の調査
被相続人の方の戸籍を全て調べましょう。養子や前妻、前妻の息子がいる可能性もあります。注意点としては、戸籍は一定期間で最新版にリニューアルされるのでリニューアル以前の戸籍も調べて確認することです。
ステップ③相続税の計算
相続税がどのくらいかかるのかを試算してから遺産分割を行わなければ無駄な税金がかかってしまいます。無駄な相続税を支払わなくて良い方法の1つとして配偶者控除という制度があります。この制度は被相続人の配偶者の方が相続した財産は一定の金額までは非課税になります。
そのため配偶者が多く相続した方が税金が安く済みます。しかし、このような制度を用いても二次相続や二次相続対策を行わなければいけませんので遺産分割自体は簡単に決めれるものではありません。
その前提としてざっくりとした相続税の計算を必ずしなければなりません。また、一人で相続税の計算を行う場合は税務署や国税庁のホームページから確認することができます。ここまでが遺産分割協議書を作成するための準備になります。
ステップ④遺産分割協議書の作成
相続人の方たちのそれぞれの相続分の詳細を遺産分割協議書に記入し実印を押すことで作成することができます。
ステップ⑤相続登記に必要な書類の準備
遺産分割協議書をもとに登記の申請を行うための必要書類を集めます。以下5点です。
・登記申請書
・相続人全員の印鑑証明書
・戸籍謄本等
・住民票
・固定資産評価証明書
遺産分割協議書と他の書類一式と必要な申請書を持って法務局に提出するのが全ての流れとなっています。
相続登記の申請の種類
相続登記の申請方法は、法務局の窓口、郵送、オンラインの3種類あります。
①法務局の窓口での申請
平日であれば法務局の窓口で説明を聞きながら申請を行うことができます。また、質問や不備あればその場で直すことがでるので専門家以外の方が行うのであれば法務局の窓口での申請をおすすめします。
②郵送での申請
平日に法務局に行くことが出来ない方でも郵送で申請を行うことができます。しかし、法務局の窓口で説明を受けることが出来ませんので書類の不備等が発生した場合には時間がかかってしまうことがあります。
③オンラインでの申請
インターネットを利用して自宅やオフィスからでも申請を行うことができます。オンラインでは法務局のホームページから申請を行うことができますが、非常に分かりにくいので一般の方が利用しづらい可能性があります。
いかがだったでしょうか。相続登記について、くわしくご説明いただきました。登記の際は自分でやられる際はコストがかからない代わりに膨大な手間がかかります。時間に余裕がある方はよいですが、お勤めに出られていたりする方は手間省きでぜひ司法書士に依頼してみてください。