相続
相続税
自宅があるんだけど、相続税計算上の評価額ってどの位なのだろう?
目次
【最初に】
ご高齢のお父さんやお母さんが所有する自宅がある場合、そこで心配になるのは相続税。
特に、ご自身もお父さんやお母さんが所有する家にお住まいの場合、「相続税がかかる結果、自宅を手放さなければならないのでは」と不安になる方も多いのでは?
実際、税理士として相談業務にあたっていても、そのような声もちらほら伺います。
ですので、ここでは専門的なマニアックな場合は考慮外として、初心者向けに「一般的な場合の自宅の相続税計算用の評価はこう考える」という点を説明したいと思います。
【自宅の相続税計算用の土地評価はこう考える!】
まず、相続税計算時の土地や建物の評価は、原則として「相続税財産評価基本通達」に基づきその判定がなされます。
具体的には、自宅の土地については、通常は相続税路線価を基礎として、その土地の個別性の該当がある場合は「予め定められた補正率表に基づく補正率」を考慮して得た「相続税評価用の土地の㎡単価」を算出します。
その上で、これを土地の面積に乗じて、「相続税計算用の土地の評価額」を算出します。
【相続税路線価とは?】
さらりと相続税路線価という文言が出てきましたが、ご存じない方もおられると思いますので、相続税路線価についても触れておきたいと思います。
相続税路線価とは、国税庁が毎年定めている、「この道路(路線)沿いの補正要素のない標準的な画地は相続税計算上ではこの㎡単価で見るよ」という目線で、インターネットで見る事ができます。
但し、路線価は実際の不動産取引の価格水準とは異なるので、あくまでも「相続税計算用の価値の目線」と考えた方がよいでしょう。
なお、地方の過疎地の場合は、路線価の設定がない地域があるので、この場合は毎年、各市町村から送付される固定資産税課税明細の「固定資産税評価額」に、国税庁がインターネット上で公表している倍率表に記載の「その土地に該当の倍率」を乗じて「相続税計算用の土地の価値」を算定します。
もし、細かい補正を考慮外として概算で簡単に自宅の土地の相続税評価額を知りたい程度の場合は、シンプルに相続税路線価に土地面積を乗じるのも一案と思います。勿論、これだけでは相続税申告には使えませんが。
【自宅の相続税計算用の建物評価はこう考える!】
次に建物ですが、建物はとても簡単です。
余程特殊な背景でもない限りは、建物は固定資産税評価額をもって「相続税計算用の建物の価値」と扱います。
ですので、変な話ですが、そろそろ相続が発生しそうだと覚悟したら、各市町村から送付される固定資産税課税明細を確保しておいた方が、後でバタバタしないで済むでしょう。
【土地の評価について…自宅の場合は特例がある】
実は一定の要件を満たす場合、相続税計算段階においては、自宅の土地の価値を「特例適用前の相続税計算用の土地の価値」の2割で見てよいとの特例があるのです。
この特例を「小規模宅地等の特例(に含まれる、特定居住用宅地等の特例)」と言います。
適用には細かい条件が定められているので、ここではマニアックな説明は割愛しますが、平たく言うと「配偶者や一定の要件を満たす親族」が、「一定の要件を満たす自宅」を相続した場合は適用と考えておけばよいでしょう。
この特例は土地の評価額を少なく見てくれるので、相続税を少なくする方に作用します。
言い換えれば、自宅の場合、相続税評価額は意外と低い場合が多いのです。
【自宅の相続税計算用の評価はこう考える!】
自宅の評価額は前述の経緯で求められた「相続税計算用の土地の価値」と「相続税計算用の建物の価値」を加算して求めます。
なお、自宅が分譲マンションの区分の1室である場合は、原則として分譲マンション全体の敷地の「相続税計算用の土地の価値」を、その区分の1室に帰属する敷地権の割合で按分して求めます。
【相続税を専門家に相談するメリット】
ここまで、すごくシンプルに相続税計算用の自宅の評価方法を述べてきましたが、ここで読者の方にお聞きしたしたいのは、
「では、皆様がこの手順を実際に相続税申告の段になって、流れるように遂行できますか?」
という点です。
筆者は不動産価値の知識もある税理士のため、あまり相続税の知識がない仲間の税理士さんから、特に不動産の影響が大きい相続税の業務の進め方の相談を受ける事があるのですが、相続税申告は税理士ですら相談しながら進める事もある話なのです。
ましてや、相続税申告の経験のない一般の方がいきなり相続税申告書を自力で書くのは、相当にハードルが高いのでは?
しかも、専門知識がないばかりに間違って、税理士報酬以上に税負担が増えるなんて憂き目も考えられます。
個人的には、安全策をとる意味でも、相続税申告は相続税に強い税理士に委ねた方が・・・と思います。
一方で、これから相続が発生しそうだ・・・という状況であれば、早めに税理士に相談する事で、「相続税がいくら位になるのだろう?」という不安が解消できたり、場合によっては問題点を解消する対応策を講じる事が出来るのではないかと思います。
勿論、本気の申告であれば厳密に申告書を作成しますが、与えられた限定条件の下でのある程度のざっくりした相続税額の概算であれば、相続税申告の経験豊富な税理士であれば電卓を数分いじれば算定できます。
もし、相続税に不安を抱えておられるのであれば、まだ相続発生前であっても早めに相続税申告の経験が豊富そうな税理士に相談してみてはいかがでしょうか?
この記事の著者
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税理士
冨田 建
不動産鑑定士・税理士の顔を持っています。「会計に最も強い鑑定士」が自身の強みで、不動産鑑定は全国で実績があります。
不動産の税金ノウハウは豊富。ヤフーニュースにも寄稿実績があるので、マニアックなご相談もしっかり対応できます。
不動産の価値でお悩みの方でお悩みの方はぜひご相談ください。
不動産鑑定士・税理士の顔を持っています。「会計に最も強い鑑定士」が自身の強みで、不動産鑑定は全国で実績があります。
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