相続

財産分割

遺産分割協議書の押印について

遺産分割というのは、とかく揉めがちなものです。何も財産がなければいいのですが、多少なりとも財産がある場合は、揉める可能性があると言っていいでしょう。相続人同士が揉めている様は、故人が望むものではないですし、周りから見ていても決して気持ちのいいものではありません。また、相続の際には色々な手続きを行う必要がありますから、相続内容について相続人みんなが承諾しているということを証明する書類が必要となります。このようなことのために、遺産分割協議書を作成するのですが、今回は、そんな遺産分割協議書で大切な押印について見ていきます。

遺産分割協議書には押印が必要?

まず、最初に遺産分割協議書に押す判子ですが、やはり実印が必要となってきます。民法では、実印でなければいけないとまでは書いていないのですが、後々の遺産分割の手続きの中で、実印と印鑑証明が求められることになります。例えば、預金がある場合の金融機関での手続きや不動産の登記のために法務局に提出する書類、相続税の納付の必要がある場合等は、実印と印鑑証明が必要とされます。また、偽造しにくいものという意味でも、実印を使うのがいいでしょう。そして、遺産分割協議書では、署名欄以外にも、押印が必要となってくる箇所があります。不正等を防ぐために必要なもですから、しっかりと理解した上で間違いないようにしましょう。

遺産分割協議書に必要な押印の種類は?割印や契印は?

では、具体的に遺産協議書で押印が必要な箇所というのは、どこになるのでしょうか。署名欄は勿論ですが、割印、契印といったものがそれに当たります。あと、一般的な書類でよく見られる捨て印ですが、捨て印が必要なのは、軽微な訂正等の際に便利なようにということですから、遺産分割協議書では特に必要はないでしょう。例え、捨て印があっても、内容にかかわる重大な変更があれば、捨て印があっても有効だと認められなくなりますから、あえて捨て印を押す必要はないのです。

では、割印、捨印それぞれについて見ていきます。

まずは、割印についてですが、割印とは一般的に、いくつかある書類が同じものであるということをしめすために押されます。書類と書類を重ねて、それを跨ぐようにして判子を押します。では、遺産分割協議書で割印が必要かと言うと、必ずしも必要というわけではありません。理由は、相続人全員が同じものを所有しているため、あえて割印までする必然性がないためです。

これに対して契印は、1つの書類が何枚かで出来ている際に押印されます。

理由は、書類の差し替え、偽造等を防ぐためです。遺産分割証明書の枚数が少ない、例えば、1枚や2枚で収まっている場合は、その部分だけを差し替えるといった偽造はできないかもしれませんが、枚数が多くなれば、途中のページを差し替えるといったことが起こりえます。それを防ぐために契印が押されるのです。

このように見ていくと、遺産分割協議書では、契印が重要だということになります。

遺産分割協議書の契印を押す場所、方法は?

遺産分割協議書では契印は大切だというお話をしてきましたが、では、どのようにして押印していくのでしょうか。2つのケースを紹介しておきます。まずは、最も一般的に用いられるものですが、製本テープを使って製本する場合です。製本テープを使う場合は、ステープラーで書類の左側の余白部分を2か所留めます。そして、出来上がった書類の左側をステープラーの上から、書類の最初と最後を跨ぐように製本テープを貼っていきます。つまり、この製本テープを剥がさないと書類の差し替えが出来ないようにしてしまいます。そして、その上で、製本テープと書類を跨ぐようにして押印しておきます。表と裏、両方しておけば、確かでしょう。

では、製本テープを用いない場合は、どうすればいいのでしょうか。ステープラーで書類を留めてから、上の書類と下の書類、例えば1枚目と2枚目を跨ぐようにして押印しておきます。そして、この作業を全てのページについて押印していく必要があります。枚数が少ない場合は、こちらでもいいかもしれませんが、枚数が多くなれば、それだけ押印の手間も増えてきますし、厚みが増してくると押印しにくくなってきます。

 

まとめ

遺産分割協議書への押印について見て来ました。このような大切な書類の場合は、やはり実印がいいでしょうし、偽造の可能性を防ぐために、割印が必要となります。割印以外にも契印や捨て印といったものもありますが、それぞれの意味を考えれば、その必要性がわかると思います。遺産分割証明書はとても大切なものですから、偽造が出来る要素を無くしていく必要があります。また、せっかく作った遺産分割協議書が無効なものであってはならないですし、何度も作り直しをするといったことも好ましくありません。そのようなことにならないためにも、手続き、書類作成は、相続のことを分かった専門家に作成を頼むのがいいかもしれません。そうすれば、どこに、どのような判子を押せばいいのかということも、示してくれると思いますから、安心です。

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