相続

相続全般の知識・手続き・相談

相続放棄の基礎的な知識とその方法、注意点は?

相続放棄とは?

人は誰でも何らかの財産があります。それは、喜ばしいものならともかく、マイナスの遺産の場合も当然あることから、相続放棄を選択する人が出てきます。亡くなった人の相続財産の相続権を放棄する、つまりそれが相続放棄ですが、亡くなった人から引き継ぐ全てに関して放棄する、つまり、プラスもマイナスも含めた一切の財産の放棄です。ですから、もし被相続人(亡くなった人)に多額の借金があったとしても支払わなくて済みます。

ということは、大金持ちの人が亡くなった場合、遺産放棄する人は、まずいないと考えられるでしょう。

また同様に、誰かの連帯保証人にでもなっていた場合はどうなるでしょう?その場合は、被相続人から引き継ぐことになるはずの連帯保証人の義務も、引き継がなくて済むようになります。

相続放棄が適しているケース

先ほどの例のように被相続人が多額の借金を抱えて亡くなったり、誰かの保証人になっていたような場合(プラスになる余地がない)は、マイナスの財産しか残らないことが考えられるので、それを引き継ぐにあたっては、誰でもが困惑してしまうことでしょう。

そういった場合は、相続放棄をして、一切の借金を背負わなくていいようにした方がいいでしょう。

また、それだけではなく相続問題に関わったり巻き込まれたくない場合、また事業継承のように遺言者である被相続人の財産すべてを、ある特定の相続人に継承させたい意向がある場合なども相続放棄が行われることがあります。

このような特定の場合も、相続放棄が適したケースと言えるでしょう。

相続放棄の方法

書類を揃える

相続放棄は家庭裁判所で行いますが、①「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。

その時には、亡くなった記載のある②被相続人の住民票除票又は戸籍の附票が必要になります。

また、④亡くなった方の戸籍謄本(死亡の記載のあるもの)と同時に、相続放棄する本人の戸籍謄本(自身自身の身分証明)も必要になります。もしその他に裁判所から必要な書類を指示される場合があればその指示に従います。

上記で記入した①から④までの書類が必要なのですが、それらを揃えたら、家庭裁判所に申述します。なお、相続人と亡くなられた方との関係性が、配偶者または子以外の場合は、この他にも必要な戸籍謄本等があります。

相続放棄をするために利用する家庭裁判所は、亡くなった方の最後の住所地を管轄している家庭裁判所であることに注意する必要があります。ですから、どこでもいいわけではありません。

相続放棄の流れ

1.書類関係の提出

収入印紙代800円、連絡に用いる切手代が1,000円程度、費用としてかかります。(家庭裁判所ごとにやや異なります)

2.裁判所からの照会書に回答する

亡くなった方の死亡を知った時期、相続放棄は自らの意思か否か、相続放棄をしたい理由、亡くなった方の遺産を使ったり手を付けたりしたことがないか、等に正直に回答しましょう。

3.相続放棄の受理

問題がなかった場合には、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送付されてきますが、この用紙そのものには効力があるわけではありません。ですが、他者に証明されたという事実を伝える場合には役立つので、しっかり保管しましょう。

4.相続放棄申述受理証明書の交付

もし、「相続放棄申述受理通知書」だけで不充分な場合には、「相続放棄申述受理証明書」の交付を受けることもできます。その場合の手数料は、収入印紙150円ほどです。

相続放棄の注意点

相続放棄の手続きには、期間があります。自分が相続の開始があったことを知った時点から3か月以内に、行わなければならないので、慌ただしく感じることでしょう。相続を知った翌日を1日目とカウントして、この相続放棄できる期間、熟慮期間内に対応しなければ認められないのです。

もし、被相続人の死亡を知っていたけれど、法定相続人のルールがあるのを知らず、自分は相続人になるなんて知らなかったというのは、言い訳になってしまうので相続放棄の申告は認めてもらえないことも理解しておきましょう。

限られた期間内に必要な書類を集めて、「相続放棄の申述書」を裁判所に提出するわけですから時間的にも精神的にも大変です。

そのために専門家がいるのですから、期間に間に合うよう依頼してみましょう。

仮に、相続するはずの人全員が相続放棄をして、自分まで回ってくるはずがなかった場合はどうなるでしょう?

その場合は、先の順位で相続になるはずの相続人全員が相続放棄をした事実を知った時から3か月以内に対応すればよいことになります。

また、相続人が相続財産の一部または全部を処分したり、隠匿、消費したような場合は、「相続人は相続財産を単純承認したとみなす」、という法令があるので、相続放棄そのものが認められません。

もし、相続放棄の期間が迫っていたり、期間が過ぎてしまった場合含めて、問題になる前に速やかに専門家に連絡をして相談に乗ってもらうことが得策になります。

空き家は相続放棄できる?

空き家は、相続放棄することができます。

もし、その空き家を相続することになっても、使えない、老朽化などの問題で解体費がとても高く発生する、維持費の負担が大きすぎる、などあれば、相続放棄を考えることも頭に入れた方がいいでしょう。相続しなければ、そもそも所有権がなくなりますから固定資産税を払わなくて済むからです。

ですが、ここで気を付けなければならないことがあります。それは、相続放棄をしても空き家の「管理責任」という義務が残る場合がある、ということです。その管理責任義務からも解放されたい、など含めて気軽に専門家に確認してみましょう。

まとめ

相続放棄も法令に添って行うために、様々な書類上の手続きやその内容、法的な内容含めて大変な作業のひとつとなります。事務作業や紛争関係は、専門家に依頼することで、ことのほかスムーズに進みます。

煩雑な手続きや、相続に関するトラブルが発生しても専門家がいることで安心できますし、そういった問題や様々な負担から解放されることができます。

「相続放棄の依頼をしておけばよかった・・・」、そうならないためにも充分な配慮が必要になってきますので、全てを任せられる専門家に相談してみましょう。

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この記事の著者

  • 司法書士

    笠田 佑介